次に行ったのが、バンタンというデザイン学校だ。東京の恵比寿に校舎があり、確かデザイン学校の見学をお勧めした同期にが見学に行っていたので、自分もいった感じだ。
恵比寿駅で降りて学校の受付まで行くと、見学の人は別の場所の受付に行く必要があると案内された。校舎は外から見ると、ずいぶん薄汚れていて汚かったが中は結構綺麗でデザイナーらしい勉強ができそうでモチベーションが上がった。
そして、説明会の席でカウンセラーを待っていたところ、なんとなくチャラそうな男性が現れた。
簡単に挨拶を交わすと、その男性が私がデザイナーになりたいことを簡単に聞くと、一方的にデザイン論について話し始めた。
色々と話してくれるのだが、なんだかどこかの書籍で読んだような内容で、デザイナー初心者でありながら「浅いなー」と感じていた。
ただ、30分以上における彼の講釈の中で、一つだけ興味深い言葉があった。
「デザインは一つのテーマに対して100個作る努力が必要」
そんか感じの言葉だったと思う、もちろんこれは彼の言葉ではなく、どこかの外部講師の方が来た時に発した言葉のようだ。
確かにプログラミングでもそうだが、100個アプリをつくれば大体のことはクリアできそうだし、何よりもそこまで作るまで相当な努力と思考を使っていることは間違いない。
デザインの世界では、才能も重要だが努力の数も確かに重要なのだ100回本を読んだ人と、100個の作品を作った人では作品の質や重みに大きな違いが出る。
この30分の話の中で、これだけは自分にとって良い収穫であったと思う。
その後、彼から質問タイムがあり、同じくデザイン業界について聞いてみたが、カウンセラーのくせにいまひとつまとを得た回答がない。
正直この方はデザイン業界について知っているのか疑わしいレベルであった。
そこで、ある質問をしてみた。それは
「ここの生徒さんの就職先や卒業後について知ってますか?生徒さんについて何でも良いので学校生活とか教えてください」
なぜこの質問をしたのかというと、あらかじめネットで生徒のことを知らないカウンセラーはやばいということを読んだからだ
確かに、カウンセラーは生徒の普段の生活や将来についてしっかりとサポートする職業なはず、生徒のことについても詳しく知っているはずだ。
しかしこの質問に対して、このカウンセラーの方は何だがぼかすように答え、普段から生徒と関わっていないのが明らかだった。
そもそも、卒業後の生徒や印象に残った生徒の一人や二人出てこない時点で、この学校に入学したとしても先行きが不安であることは間違いなかった。
結局早めに話を切り上げて帰ろうとした時だった。カウンセラーの男性が、
「再来週から早速次のコースが始まる予定ですが、しーたけさんはいつご入学予定ですか?」
と聞いてきたので、とりあえず仕事が忙しいので来年になるかもしれませんとはぐらかしたところいきなり
「田中さんは甘いですね、こんな考えだとデザイナーになるのは無理だと思います。また、本校では面接試験がありますが、今の田中さんのモチベーションだと来年うちに来られても面接が通るとも思いません。一晩考えて、考えが変わったら私にその考えをお聞かせください」
と言われ、失礼なやつだなーと思った時、自分の周りで説明を受けている方々を見回してみると、どのカウンセラーも同じようなことを言っていた。
つまり、彼らなりの営業手法なのだ。
ちなみに、その険悪なムードなあともちろん校舎の見学もないし、ろくなパンフレットも渡されなかった。
渡されたのはせいぜい、入学願書のみであった。
それから3日経った頃だろうか、バンタンから連絡があった。
「こんにちは、バンタンの〇〇です。しーたけさんお元気ですか?前回はお越しいただきありがとうございました。へへ・・・あのーよかったら今週就職相談会をやっているので、よかったら出席しませんか?」
という内容だった、正直就職相談会だったか、学校見学だったかははっきり覚えていなかったが、それにしてもたった数日であの態度の豹変は驚いた。
要は、ああいう強気な態度に出たのも営業トークであり、意志の弱いものはそれにつられて入学してしまうのだ。
これは地雷案件と思い、丁重にお断りをして終わった。